積分と期待値・分散
積分
確率変数 $X$ に対して, $F_X$ はその分布とし, 連続分布か離散分布のいずれかであるとする. 関数 $g$ を実数値の関数であるとする. このとき, $F_X$ による積分を
\[ \int_A g(x)\,dF_X(x) =\begin{cases} \displaystyle\int_A g(x)f_X(x)\,dx,\quad \text{$F$ が連続分布のとき}, \\ \displaystyle\sum_{x\in A}g(x)p_X(x),\quad \text{$F$ が離散分布のとき} \end{cases} \]
により定める(確率変数 $X$ による積分とも呼ぶ). ここで, 関数 $f_X$, $p_X$ はそれぞれ $X$ の確率密度関数, 確率質量関数を表す. ただし, この定義は $g(x)$ が $F_X(x)\,dx$ について絶対可積分であるときに意味を持つ.
期待値
確率変数 $X$ とその分布 $F_X$ について, 積分
\[ \int_\mathbb{R} |x| \,dF_X(x) \]
が有限であるとする. このとき, $X$ の期待値を
\[ \mathbb{E}_X[X] = \int_\mathbb{R} x\,dF_X(x) \]
により定める. さらに確率変数 $Y$ とその分布 $F_Y$ についても積分
\[ \int_\mathbb{R} |x| \,dF_X(x) \]
が有限であるとする. このとき,
\[ \mathbb{E}_Y[\mathbb{E}_X[h(X,Y)]] = \mathbb{E}_{XY}[h(X,Y)] \]
と表す.
また, $\mathbb{E}$ の添え字が省略された場合には, 鍵カッコ内すべての確率変数についての積分を表す;
\[ \mathbb{E}[h(X)] = \int g(x)\,dF_X(x) \]
分散
確率変数 $X$ とその分布 $F_X$ について, 2次モーメントと呼ばれる積分
\[ \int_\mathbb{R} |x|^2 \,dF_X(x) \]
が有限であるとし, $X$ の期待値を $\mu_X$ とかく.
このとき, $X$ の分散を
\[ \mathbb{V}_X[X] = \mathbb{E}_X[(X-\mu_X)^2] \]
により定める.
コメント
積分の定義に現れた見慣れない記号
\[ \int dF_X(x) \]
はスティルチェス積分と呼ばれている.
ただし以降では $F$ が連続分布な場合か, 離散分布の場合しか取り扱わないため,
\[ \begin{cases} \displaystyle\int f_X(x)\,dx,\quad \text{$F$ が連続分布のとき}, \\ \displaystyle\sum p_X(x),\quad \text{$F$ が離散分布のとき} \end{cases} \]
を理解しておけば十分である.